②シュリンプ飼育の環境

アンモニア中毒について

アンモニアは、pH7以上の水槽で「毒性が増大」します。pH6.5の水槽でエビが飼育できていても、pH7.5になると毒性のアンモニアが増大して死に至らしめることがあります。これは、アンモニアが弱酸性の水では、殆ど無害なアンモニウムイオンで存在するからです。そして弱アルカリ性の水槽では、猛毒のアンモニアが発生するので、水づくりができていない水槽ではエビは長く生きることができません。言い換えれば、水質の安定しない小さな水槽でも、ソイルを入れて弱酸性を保ち、弱酸性の環境を好むエビを飼育することができるのです。

アメリカの環境保護課の調べで、1985年に温度とpHレベルでどの程度のアンモニアが存在するか明確になっています。存在するか明確になっています。それを簡単な表にすると以下のようになります。温度の上昇も怖いですが、いかにpHの上昇が危険か良く分かるデータです。

◆ 総アンモニア(アンモニア+アンモニウムイオン)内の”アンモニアの比率”

温度 pH6.5 pH7.0 pH7.5 pH8.0 pH8.5
20℃ 0.13% 0.40% 1.24% 3.82% 11.20%
25℃ 0.18% 0.57% 1.77% 5.38% 15.30%
30℃ 0.22% 0.70% 2.17% 6.56% 18.20%
35℃ 0.26% 0.80% 2.48% 7.46% 20.30%

25℃でpH7.0のとき、有害なアンモニアは、0.57%になります。(注意信号)pH7.5以上で、水づくりができていない水槽では致命な状態です。

◆アンモニアの濃度はどこまでOK?
「常にゼロであるべきです」 水槽の生物ろ過が安定していない限り、なかなかゼロをキープできません。

◆対応策は水を換える
大量換水でアンモニアを出して新水で薄める事はとても効果的で予防措置としても有効です。しかし、バクテリアも進まってしまい、水づくりができません。緊急処置では、化学薬品の投入も有効です。

◆添加剤(化学薬品)
有害なアンモニアを即時に無害化します! 緊急時のアンモニアの解毒剤です。生体が水槽内で気づかない内に死んでいてアンモニア濃度が上がってしまった時や水槽立ち上げ時、また魚等を長時間輸送しアンモニア濃度が上がってしまっている水をすぐに換水できない緊急時に使用すれば、素早くアンモニアを無害化します。無害化したアンモニアは、硝化菌の餌になるので、飼育水の立ち上げの妨げになりません。

※ 化学薬品で中和するとアンモニアを無力化できても別の物質が化合で生成されます。何よりもアンモニア検査薬で正しい値が検査できなくなります。最悪の場合全ての水を入れ換える結果になりますので、可能であれば避けて下さい。

◆餌を控える
アンモニア中毒の原因の中で最も多いのが餌の与えすぎです。 これを暫く減らすだけでろ過の安定も促進され収束させやすくなります。

◆個体数・水槽サイズの適正化
水槽のサイズに合わないほどの過密飼育をすると出やすい問題です。

◆ろ過バクテリア不足の解消
立ち上げ中、立ち上げ直後は特に不安定なので注意です。同様に安定したろ過があっても水の換え過ぎなどで能力が低下すれば簡単にアンモニア濃度が上がるので、定期的な検査が重要です。

●補助的な対策
◆水草を入れる
 アンモニアを吸収する為、助けになります。

◆青水にする
 アンモニアを吸収する為、助けになります。

◆死体の除去
 死んだ魚は、大量にアンモニアを出しますので発見次第取り出してください。

アンモニア中毒の症状
エビは、動かなくなったり、餌をたべなくなります(他に原因があることもあります)
※ 一度中毒になると、水質が改善されても回復しないことが殆どです

【補足】 エビの白濁りについて
透明な体を持つエビは、飼育条件(水質)が悪いと、大概どんなエビでも体は白濁します。白くなったから死ぬのではなく、何か生存に悪い条件下にいるので体が白くにごるのです。生きている透明なエビがミルク色になる原因は、少ない水量の中、寿司づめ満員状態で、酸欠とアンモニア濃度増加です。環境が良くなれば数日で回復します。(通販で購入した時に、エビの数が多くて水が少ない時に起こることがあります)また、加齢による白濁や黄濁があります。この場合は異常ではありません。