シュリンプの活性化をさせる方法として、水中の溶酸素濃度を高くすることがあります。実際にシュリンプの死亡率が減少させ、餌の消費が増大しています。水が臭う。シュリンプが長生きしない。外部フィルターを使っている人に必見です。ここでは、溶存酸素濃度を高める「水面の揺らぎ効果」について説明します。
強めのエアレーションを行うと、シュリンプは餌を食べるようになり、動きが活発になります。そして、水がピカピカになります。特に注意すべきは外部フィルターです。フィルター内のバクテリアは、大量の酸素を消費します。また、水槽の形状で水面の面積比率が小さいの要注意です。このような環境の水槽には、強力なエアレーションが必須になります。
外部フィルターのシャワーパイプの水流が強いのが理由で、背面ガラスに向けていませんか。水が空気に接するので、溶酸素濃度が高くなるように思いますが、実際はそうではありません。酸素濃度を最も高くする方法は、水面を揺らして空気と交わらせて水中へ流すことです。水面は、最も空気と接する面積が広いので酸素濃度を高める効果が大きいのです。シャワーパイプは、面積の広い水槽の前面の水面にあてることで、水を揺らすことができ、エアレーションよりも酸素濃度を高めることができるのです。
水面に水を当てる場合の課題は、水流が大きくなりすぎることです。シュリンプには、強い水流は、ストレスになります。対処方法はシャワーパイプを水中に入れ、上に吹き上げさせて水面を揺らします。この時に若干の水流が発生するように角度を変えて調整します。
エアレーションは、空気と水の接地面積が小さいので、酸素濃度を高める効果は、シャワーパイプで水面を揺らすよりも小さいのです。但し、大量のエアーにより水面を揺らして水流ができれば、揺らぎ効果が見込まれます。
■溶酸素濃度を高める効果
1.揺らぎ > 2.水流 > 3.気泡
※ 空気量は気泡の数に関係し、気泡の数は水面の揺らぎや誘起水流の強さに関係します
小さくて細かいエアストーンは、エアポンプの空気吐出量を抑えないと、互いの気泡がくっ付いて綺麗で細かい泡が出ないという構造的欠点から生じます。(溶酸素濃度は、あまり高くない)また、マイクロバブルは込む空気の絶対量が少ない為に、必ずしも大きな泡より酸素溶存量を増やせる訳ではありません。実際に酸素濃度を高ても直ぐに効果は感じられません。環境によりますが、最初に餌の消費が増えて動きが活発になります。一週間位経つとシュリンプの死亡率が減少してきます。
エアレーションには、植物のように、溶存酸素量を100%を超えるほど溶け込ませるような能力はありません。外気と釣り合おうとするだけですので、いくらやったとしても、それなりの値で止まります。水槽の表面の水を波立たせて、エアレーションを加えても溶存酸素量は、6.0mg/L迄でした。また、シャワーでバケツに水を入れて測定した時が6.0mg/Lだったので、6.0mg/Lがエアレーションの限度でしょうか。
※ 水道水は二酸化炭素を含んでいるんで、エアレーションをすると炭酸が抜けて若干にpHが上昇します。
シュリンプの飼育で重要な要素の一つが、水槽内の酸素濃度です。底面式フィルターやスポンジフィルターを使われる場合は、エアレーションは不要ですが、密封された外部式パワーフィルターを使っている場合は、バクテリアが酸素を消費するので酸素濃度が低くなります。この対策ではエアレーションの設置よりもシャワーパイプの取り付け方を工夫するといいでしょう。エアレーションは、空気と水が接する面積が小さいので、大きく空気と接している水面の水を水中に送る方が酸素濃度が高まるのです。
水中の溶酸素濃度が、低いと動きが遅くエサをあまり食べないため成長が遅くなります。また、繁殖することもなくポツリポツリと★になっていきます。十分な酸素を水槽に送ると食欲が増進して成長も早くなります。自然界に置いても波が立たない湾では、夏の溶酸素濃度が低くなり魚が死んでしまうことがあります。温度が高いと飽和溶存酸素量が低くなることと、波がないので空気が海水に溶け込まないことが原因です。
下の写真は、水流が大きくならないように背面にシャワーパイプを向けた例で、このような使い方をされている方が結構多いのではないでしょうか。
当初、私もシャワーパイプを背面に向けていましたが、空気に触れている水面の水が水中に溶け込まないため酸素濃度が高くならないことを知らされて、下記の写真の通りに前面に向けてみました。
シャワーパイプを全面に向けると、水面の水が溶け込み溶酸素濃度が高まります。その結果シュリンプの動きが活発になり、エサをたくさん食べるようになりました。外部フィルターを使っていたので内部のバクテリアが大量に酸素を消費するので、溶酸素濃度が低くなっていました。酸素が増えたことで、エビが健康に育つ環境ができたのです。酸素はエビや魚だけが消費するのではなく、浄化のためにバクテリアがたくさん消費することを忘れてはいけません。水槽の酸素濃度を高めることは、浄化を促進させるために大切なことなのです。
TEST O2(酸素濃度測定 試薬)の溶酸素濃度は、6.0mg/Lに増えていました。温度により酸素濃度の飽和濃度は異なります。実際にシャワーでバケツに水を入れた時に計測した酸素濃度と同じでした。これが溶酸素濃度の限界かも知れません。シャワーパイプを水槽の全面に向けたことで水面の酸素をたくさん含んだ水が水槽の中をどんどん流れるようになったので、酸素濃度が上昇しました。
エアレーションは音が大きいだけでなく、美観を損なうことになります。更に酸素濃度を高める効果が低いことから、今ではエアレーションを使わなくなりました。外部式パワーフィルターでシュリンプを飼育される方は、正しいシャワーパイプの設置を是非お試して下さい。